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山椒にアゲハの幼虫が

 三男がGW前にタケノコ採りに行き、朝どれタケノコを持って帰ってきた。GWで帰省した長男もまじえ、家族で竹の子ご飯や煮物を楽しんだ。

 最後に「木の芽和え」を食べたくなり、妻が山椒を手に入れてきたのだが、その山椒にアゲハの幼虫が付いているのを見つけた。その幼虫を飼おうと、二男は妻と一緒にホームセンターへ行ったり、ネットショップで様々な種類の山椒の苗を手に入れていた。ところが、その中のひとつの山椒にさらにたくさんの幼虫を見つけた。今度はそれらを飼うために私がいろいろな人に相談して、葉っぱが大きく(山椒の葉より量があり)、マンションのベランダで鉢植えができるレモン2種類とユズの苗を家族でホームセンターで買って来た。また、妻はその葉っぱが育つまで実家からミカンの葉をせっせと持ち帰っていた。

山椒のコレクション(2024年5月26日)
山椒コレクションの一部(2024年5月26日)

 最初の幼虫は無事蛹になったが、山椒で飼育していた次の3匹は前蛹になる直前に死んでしまった。二男は、一気に病状が広がったことから当初ウィルス性の病気を疑ったが、そのうちに山椒に散布されていた農薬のせいではないかと疑い始めた。その山椒の枝と土にアリがたかっていたからだ。二男に相談をされ、カイコの飼育の経験からどちらの可能性もあると答えた。また、野外で採集した幼虫は、病気や寄生蜂に感染している可能性があるので、プリンカップなどで個別飼育するのが原則であることを思いだした。

 ホームセンターで買ったユズの鉢植えをベランダに置いていたら、先週アゲハが卵を産みつけた。今週になり孵化した幼虫と、そのユズの世話(水やり)を私が担当している。さらに2種類のレモンにもアゲハが卵を産み付けたようで、気づいたら1齢と4齢幼虫が這っている。部屋には山椒の鉢がたくさんあり二男が、ベランダのレモンは妻が担当している。

 今日、最初のアゲハが羽化し、妙にうれしかった。ナミアゲハの成虫をまじまじと見たのは生まれて初めてかもしれない。自然を感じさせてくれる冗談のような話にほっこりしている。

レモンの葉の上で4齢へ脱皮した幼虫(2024年5月26日)
レモンの葉の上で4齢へ脱皮した幼虫(2024年5月26日)
羽化した成虫(2024年5月26日)
羽化したナミアゲハの成虫(2024年5月26日)
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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌 農学博士
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職
2024年 東京大学 名誉教授

コメント一覧 (7件)

  • いつも楽しみに拝見しております。
    我が家の狭い庭のミカン、スダチ、鉢植えレモンにもアゲハが卵を産み付けていきます。
    特にレモンは人気で、アゲハを見かけてすぐ確認に行くと柔らかい新芽の葉に産み付けています。レモンの木がはげ坊主になってしまうので、申し訳ないと思いながらも「ごめんなさい」と言いながら、卵を取り除いております。
    なかなか悩ましいところです。

  • コメント、ありがとうございます。
    「キアゲハ」を「アゲハ」に勝手に修正させてもらいました。申し訳ありません。

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  • アゲハはミカン類にとって明らかに害虫ですよね。卵を取り除くのは当然だと思います。
    私にとっては、山椒もレモンもユズも食草にしか見えませんでしたが。
    ただ、朝晩水やりをしていると植物の方もかわいくなってきます。今ジレンマに陥っています。

    レモンやユズを買った日、同じホームセンターで「枯れかけたパンジー」を数苗買って、プランターに植えました。昨日ツマグロヒョウモンの幼虫を一匹発見しました。大きさから考えるとホームセンターで見かけた成虫の子供だと思われます(ウスバシロチョウを求めて(2)参照)。
    一匹だけなので十分だと思ったのですが、今日一鉢だけパンジーを買い足しました。

  • キアゲハをアゲハに訂正していただきありがとうございました。
    以前、庭で終齢幼虫を見かけたとき記憶にある幼虫と少し違っていたため調べたところキアゲハらしいということが判明しそれ以来、キアゲハが卵を産み付けていると思っていました。
    よく考えてみたら、庭にはパセリも植えていてそちらに来ていたのかもしれません。
    当然、小さなパセリの株は一晩ではげ坊主です。
    子供のころは楽しかった飼育も、植物を育てだすとどちらも悩ましく卵の時に取り除くようになりました。卵も幼虫も命があるのですが、、、

  • ヤマボウシさん:
    再度の投稿、ありがとうございます。
    昆虫にも命がありますが、植物にも命があります。
    人間は、自分の都合で考える勝手な生き物です。

    まれにキアゲハの幼虫がミカン類に見つかることもあるそうですが、一般的にはキアゲハの幼虫はパセリやミツバなどのセリ科の植物を食草にします。
    文面から「アゲハ」の方が適切かと思ったので、修正させてもらいました。

  • 我が家のまだ2メートルじゃくのみかんのきにアゲハチョウの幼虫を見つけて毎朝育つようすを楽しみにしていました
    先日他の植物の水やりをしていたら蜘蛛のすがありアゲハチョウの1センチくらいの幼虫がいなくなりおそらく蜘蛛にたべられたのかとおもいます
    小さな世界の食物連鎖をみて少し悲しかったりしかたないなと思いながら毎日みています。

    • 蜘蛛なのか鳥なのか分かりませんが、野外の幼虫は常に命を狙われています。
      最近アオスジアゲハの幼虫を野外で捕まえて飼っていたのですが、蛹になった直後に中から蛆が這い出してきて、蛹は変色して死んでしまいました。蠅に寄生されていなくて成虫になれたのは3匹中1匹だけでした。
      食物連鎖や弱肉強食の中で、生き物は生きてきたのでしょう。それが生物の本来の姿だと思っています。

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