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今月のノルマをこなした

 年頭に「月に10報の投稿を目標に記事を書きたいと思っている」と書いたが、1月~4月は何かと忙しくそれを果たせなかった。今月は3日残してノルマを達成できたので、ご褒美に特定のテーマを定めないで雑感を少し書いてみたい。


 退職すると身も心も自由になって、何でもできるようになると思っていたが、意外にそうはいかない。生活に必要な手続きが多くて面倒くさい。健康保険については記事にしたが、似たような小さな問題がいくつも起きた。所属元の事務と連絡をとることもあったが、退職者には冷たいと感じた。その事務員も退職する(した)時に感じるだろう。最近まで強気で抗議していたが、だんだん面倒くさくなった。今は、明らかに損害や被害がなければ「よし」とすることにした。だから、いつまで経っても問題があるシステムが変わらないのだと思う。

 私は昆虫少年だったが、虫網で蝶を採集することが楽しく、幼虫を育てることにあまり興味がなかった。ところが、二男がアゲハの幼虫を育てているのを見て羨ましくなった。大学ではカイコを飼育していたが、実験に使うためのお仕事だった。病気などでうまく育たなくなると実験が中断するため、飼育はストレスが大きい仕事だった。使う目的があって育てるのであって、育てることが目的ではない。ところが、アゲハの飼育では途中で病気になってもあまりショックがなく、「個別飼育が基本である」などと冷静に野外昆虫の飼育法を思い出すことができた。さらに、アゲハの幼虫に興味をもつだけでなく、食草として購入したはずのユズにも愛着を感じるようになった。思わず、幼虫を二男の山椒か、妻のレモンに移そうかと考えたりする。

 幼虫がユズのどこにいるか気になり、日に何回か7匹の幼虫の行方を捜してしまう。彼らはどうもかなり動き回っているようだ。一方で、同じ場所で見かけることも多い。また、場所を変える場合も葉っぱを完全に食べ尽くさないで移動するようだ。さらに、一番上の枝で幼虫を見つけることはほぼない。彼らはどうやって食べる葉っぱの場所を決めているのだろうか?

柚子で成長するナミアゲハの幼虫(2024年5月30日)
柚子で成長するナミアゲハの幼虫(2024年5月30日)

 私は勝手に「移動した先に良い葉っぱがなかった時に、帰ってきて食べるために葉っぱの一部を残しているのではないか。また、一番上の枝は鳥に狙われやすいので避けている」と考えた。そうだとしたら幼虫は高度な記憶力と判断力を持っていると考えられる。そんなことまで遺伝子に書き込まれているのだろうか? もう研究者ではないので解明しようとは思わないが、想像しながら観察するのは楽しい。現役の時は証明するための実験を考える必要があり、観察そのものを楽しむことができなかったように思う。

 これからは観察を楽しもう! 正しくなくてもおもしろければ、それで良いのだから。

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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌 農学博士
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職

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