正月にお雑煮を食べる習慣は全国共通だが、お雑煮なる食べものは共通ではない。食レポ番組で日本全国の様々なお雑煮が紹介されることがあるが、自らが経験するまで「お雑煮」なる食べものがどんなものを示しているか意識することはない。
我が家は、元旦は岡山の「ホウレンソウのお雑煮」、二日は新潟の「サケのお雑煮(と粒あん餅)」ということになっている。息子3人はこれらがお雑煮だと疑いもなく食べている。
博士課程3年生の年末年始は博士論文作成のため東京で過ごした。生まれて初めて岡山以外での年越しだった。かわいそうに思ったアパートの大家のおばさんが元旦に「お雑煮を食べにおいで」と声をかけてくれた。喜んで出かけたのだが、東京風の「焼き餅に鶏肉と三つ葉のお雑煮」だった。これは「自分にとってはお雑煮ではない」と思った。妻は結婚最初のお正月を岡山の私の実家で迎えたが、「ホウレンソウのお雑煮」はお雑煮だと思わなかったそうで、東京の実家に帰って新潟の「サケのお雑煮」を食べた時に新年を迎えたと思ったようだ。
お雑煮は決してうまい食べ物とは思わないが、正月を意識するための儀式のような食べものかもしれない。岡山の実家では大晦日の夜遅くに「里芋入りのけんちん汁風の太麺の年越しそば」を食べていたのだが、大学生になった頃から毎年酔っ払ってしまって食べなくなった。お雑煮も二日酔いで苦手であったが、こちらは必ず食べていた(必ず食べさせられた)。今年も2種類のお雑煮を食べて、新しい年を迎えたことを実感した。新潟の「サケのお雑煮」も30年以上食べるとお雑煮だと認識されるようである。昨年は大晦日に届いた「小豆島の手延べそうめん」を紅白歌合戦を見ながら美味しく食べた。
みなさんは、今年はどんなお雑煮を食べましたか?