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被災地支援

 能登半島地震の被災地の様子が連日放送され、心を痛めている。被災者のみなさんが1日でも早く正常な生活ができるようになることを願っている。
 TVでは「ある救援物資を送ったとか、特定の救援支援を行う支援員を数名派遣した」との報道が流されているが、本当に役立っているのだろうか? 被災者や被災地にとってどのような支援が良いのか、西日本豪雨災害での私の経験もふまえて私見を述べさせてもらいたい。

 TVのコメンテーターは道路が寸断されていることから、自衛隊機で支援物資を送り、中継地点からさらに孤立地帯へはドローンで個別輸送したら良い」と意見を述べていた。ドローンを活用した(無人)配送技術を過大評価(理解)しているとしか思えない。ドローン技術の現状を勉強してから発言すべきで、アイデアではなく、ただの思いつきのように感じる。
 被災地の自治体職員は必死で対応しようとしているのだと思う。彼らから挙がる要望をひとつでもかなえてあげることが重要な気がする。被災者の意見も大切であるが、現場で直接支援を行っている職員の方が、現状を理解したうえで、俯瞰的に判断できるように思う。被災者と支援者との間のギャップを埋めるためにも、是非自治体職員の意見を尊重してあげて欲しい。

 トイレの問題は当初から指摘されていたが、トイレトレーラーの派遣はとても良い支援だと思った。西日本豪雨の被災数日後に真備町の実家の片付けに家族で数日携わったが、家の前の公園に簡易トイレが増設されていて助かった。とても暑い日だったが、近くにトイレがなければ水分を十分取ることをためらったと思う。避難所の人も同じで、トイレのことを心配して水分摂取を控えているのではないかと推察する。これは健康管理の上で絶対避けるべきである。今後のことも考えて、トレーラートイレを大きな公園や商業施設の駐車場などに必要数の2倍設置し、災害時にはその半数を被災地に派遣するというのはどうだろうか? 普段利用しているものは使えない可能性が低いためである。

 一次避難から二次避難へと方針が修正されているように思う。災害関連死を防ぐ意味から評価できる。全国の自治体が被災者の受入を表明し、具体的に人数まで示している。日本もまだまだ捨てたものではないと思った。
 「損壊した家屋の下に家族がいる」とか、「住み慣れた土地を離れたくない」との思いがあることは理解できるが、当事者ができるだけ現場を離れた方が支援活動を円滑に進められるように思う。何よりも被災者の安全が確保される。道路網の再構築のために、倒壊家屋や家財の撤去も自治体の権限で行えるようにしても良いのではないかとも思う。
 「大切な物を探し出して残しておきたかった」と私も今は思うのだが、当時はそんな考えにならなかった。ただひたすら建物の外へ物品を運び出し、ゴミ山に積み重ねていった。茶器もアルバムも何の躊躇もなく、畳や書物などとともに捨てた。「思い出の品物が埋まっているから自分たちで片付けたい」と思うのは、今はそれができないからだと思う。「全て流されてしまった」と考える方が楽である。

 水害の数ヶ月後にもボランティアの人が来て、残った物品の廃棄を手伝ってくれた。お椀の中に溜まった水害当時の水を頭からかぶっても文句ひとつ言わず、続けてくれた。本当に頭が下がる思いであった。また、建物の公費解体や義援金など多方面で多額の支援を受けられた。やはりお金は有り難かった。庭木や庭石などもきれいに片付けられ、完全に更地にすることができた。お陰で、近所にも迷惑をかけないですんでいる。金銭的支援やボランティア活動などはできるだけ長く続けるべきだと思う。

 勝手に私見を述べたが、みなさんはどう思いますか? 災害は不定期に必ずどこかで起こるわけで、(支援システムや法律を含めて)何を事前に準備しておくか、考えた方が良い気がする。

トレイルトレーラー
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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌 農学博士
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職
2024年 東京大学 名誉教授

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