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アメリカに留学して「運を天に任せる」

 私は1986年4月から2年間、アメリカ・カリフォルニア州にあるZoecon Research Instituteという研究所に留学した。Zoecon社は昆虫ホルモンを農薬に利用しようと研究開発していたベンチャー企業で、昆虫ホルモンの研究者や農薬業界では名が知られていた。Zoecon社は留学中にスイスの製薬会社サンド(SANDOZ)の傘下になった。

 当時、Zoeconでは、新たにペプチドホルモンを農薬に利用するための研究プロジェクトが計画されていた。そのために「ターゲットになるペプチドホルモンを精製して、構造を明らかにする」というのが、ポスドク(博士研究員)の私に課せられた使命であった。

 ともかく毎日必死で実験したが、研究は遅々として進まず、精神的にも疲れて、悶々とした留学生活を一年近く送った。ところが、一年経った頃に突如研究が進み、2つのペプチドホルモンの構造をほぼ同時に決めることができた。この成功体験が、その後研究者として生きていく上で、大きな自信になった。

 絶え間なく、精一杯の努力をしていれば、神様がそのうちにご褒美をくれるという意味で「運を天に任せる」という考え方が、いつしか私の研究モットーになった。裏を返せば、「努力しない研究者には、神様は褒美を与えない」という戒めでもある。私は、研究だけでなく、人生においても同じような考え方をしているような気がする。

Zoecon Research Institute の玄関前の看板(1988年3月当時)
研究所のボス David A. Schooley博士(1988年3月)
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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌 農学博士
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職

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