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ひとりの東大教員の思い出と経験「挨拶文-1」

 退職前後には挨拶をする機会が度々あった。小脳梗塞の後遺症のためか、突然失語症状態になり言葉が出なくなることがあるため、原稿を書いて読むことにしていた。折角書き残していたので、何かの参考になればと思いいくつか紹介する。

「2023年12月28日 先端生命科学専攻 学務委員会」
 学務委員会への出席は今回で最後にしたいので、少しだけお話しさせて頂ければと思います。
 私は先端生命科学専攻の初代教務委員でした。また、2代目の研究科教務委員会委員長であり、メディカルゲノム専攻が発足した時の先端生命科学専攻の専攻長でした。
 そんなこともあり、先端生命科学専攻の教務関係の内規や手順の原案は、私が書いたものがほとんどです。また、専攻長時代に今はAA大学に移ったBBさんと、内規を全て見直し改定、デジタル化し教員がいつでも最新のものを見られるようにしました。
 現在の内規の多くは、その後に修正や加筆が加えられたため、わかりにくい文言になっていると感じています。この際、内規を全て見直して、全体が統一の取れたものにした方が良いと思います。またその際、新たに教員として加わる人のことも考えて、初めての人にも読めば分かる内規や手順にしておく必要があると思います。その作業には、新人として苦労されたCC先生が適任だと思います。また、DD先生の経験に基づいたサポートが必要だと思います。内規を書くという作業は、その人のメリットにはなりませんが、その人を含めた今後の専攻の運営には重要な作業になると思います。
 その作業に際しても重要ですが、学則などの上位規定を一度は読んで欲しいと思います。大学院便覧に載っている大学の学則や文科省の規則などは、教員としての振る舞いを考える上でも、一度は目を通しておく必要と価値があります。規則の確認を事務方に任せるのではなく、教員も把握しておく必要性を感じます。学務委員の先生は、年度初めに目を通すことから始めても良いように思います。
 最後の1年を学務委員として、現場感覚で学務関係の意見を言うことができて良かったです。遺言としては「学生をどのように育て、どんな能力や考え方を身につけさせて卒業させるか」、もう一度みんなで意見を出し合って、四半世紀経った専攻の今後の方向性を決めてはどうかと思います。
 ありがとうございました。

ひとりの東大教員の思い出と経験「挨拶文-1」
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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌                 東京大学名誉教授(農学博士)                
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職
2024年 東京大学 名誉教授

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