退職を祝って、妻を伴って3月31日から一泊で北茨城の五浦温泉に出かけた。目的は大津漁港での稚鮎釣りである。毎年アジ釣りなども含めると10回程度訪れている。稚鮎釣りは今年2回目だったが、今年は回遊する群れの大きさが小さくて例年のような爆釣とはいかなかった。それでも、季節感を味わう程度の数は釣れた。帰宅後天ぷらと唐揚げで留守番の二男とともに美味しく味わった。この味をあと何回味わえるのだろうと毎年考えているような気がする。桜を楽しみにしているのと同じような感覚なのだ。
今回初めて「天心記念五浦美術館」を訪れた。横山大観などを育てた岡倉天心を記念した美術館である。近くに「五浦六角堂」があり、こちらは以前訪れたことがある。美術館は立派な建物だったし、庭園も手入れが行き届いていた。難を言えば、身障者用の駐車場から入口までが遠くてちょっと大変だった。美術品は余裕をもって展示されており、ところどころにソファーなどが設置されていて、身障者の私も楽に気持ち良く鑑賞できた。
自宅から160kmあり、常磐道を使っても2時間以上かかるが、大津漁港は広いため、釣り人で混雑することもなく、釣れる魚種も豊富なので好んで出かけている。数年前にシャコ釣りをしている人に出会って仕掛けを教えてもらって以来、シャコ釣りに凝っている。それまでシャコを狙って釣るなど考えもしなかった。妻は延べ竿のトリックサビキのアジ釣りを得意としている。2年前の年末には、三男の投げ釣りの仕掛けにかかったシャコを狙ってタコがかかり思わぬ大物釣りになった。
携帯イスに腰掛けてのんびりと釣りを楽しんでいると地元の方が次々と話かけてくれる。時にはたくさんの人が集まり、集会場のような状態になることもある。港のどの場所で何が釣れるか、釣れた魚をいかにして新鮮に持ち帰るか、地元の食堂や土産物屋はどこが良いか、など情報を教えてくれるのだが、どうも人によって食い違いがある。さらに、言葉を理解できないことが時々起きる。お年寄りにとっては、何度も話している自慢話を初めて聞いてもらえる私たちは良き話し相手なのだろう。