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アサギマダラの里 in 宮田村

 2024年9月29日(日)から一泊二日で長野県上伊那郡の「アサギマダラの里 in 宮田村」を妻と訪問した。

 アサギマダラは南西諸島や台湾まで1,000 km以上渡りをする蝶として有名で、9月上旬から10月下旬まで渡りのルートになっている各地で順番に観察することができる。アサギマダラが集団で飛来するように蜜源植物であるフジバカマを栽培して、吸蜜する姿を観光にしているところもある。その中のひとつが宮田村である。また、宮田村近くの高原には幼虫の食草があり、夏場にもその近くで時々観察されることから、春に南から渡ってきたアサギマダラがそこで繁殖しているのではないかとのことだった。

 アサギマダラは私が好きな蝶のひとつで、最初に見たのは小学生の頃遊びに行った、中国山地の道後山高原だった。道端でひらひらと舞うアサギマダラに何度か遭遇したが、ネットで捕まえそこなうとあっという間に空高く舞い上がったのを鮮明に記憶している。やっと一匹捕まえることができた時は心臓がバクバクした。今でもその時の展翅標本が自宅に残っている。

吸蜜するアサギマダラ(2024年9月30日)

 渡り前に集団で吸蜜する姿を見るのは初めてで、次から次へとフジバカマの花に飛んでくるアサギマダラに感動し、カメラを近づけても花に止まって一生懸命に蜜を吸っている姿にも驚いた。数年前には、次々とアサギマダラが集まり、その後大集団で飛び立つ姿が見られたとのことだった。さぞかし感動的な場面だっただろうと想像する。また、翅に油性マジックでマーキングして、飛行経路や所要日数などを記録する活動も全国各地で行われ、ネットワークが作られている。小さい子連れの親子がマーキングしたいとのことで、ネットで数匹捕獲するのを手伝った。マーキングするとともに体長などの記録を残して放蝶した。マーキング活動には賛否両論あるが、遠く離れた地で再捕獲されるとマーキングした子供には良い思い出として残るだろう。私にとっては、杖をつく身体になったにもかかわらず華麗にアサギマダラを捕まえることができ、「昔取った杵柄」の感覚を思い出しうれしかった。

アサギマダラのマーキング(2024年9月30日
アサギマダラのマーキング(2024年9月30日)
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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌 農学博士
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職
2024年 東京大学 名誉教授

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