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任意継続被保険者制度とマイナンバー保険証

 私は退職時に文部科学省共済組合の健康保険「任意継続被保険者制度」に加入することにした。しかし、期待していたサービスをなかなか受けることができなかった。
 3月中旬の説明では「手続きなしで4月1日からマイナンバー保険証(マイナ保険証)を使用可能」と聞いていた。ただ、マイナ保険証が使えない医療機関があることから、紙の「任意継続の資格取得証明書」の発行も希望した。3月中旬に任意継続掛金を納入すると「資格取得証明書」が3月末に自宅に届いた。その時初めて、組合員番号が変わることと、マイナ保険証も使用前に番号変更を確認する必要があることを知った。ちょっと嫌な予感がした。

 4月に入って毎日、マイナ保険証の番号を確認したが、1週間経っても番号は変更されなかった。その間、元所属先事務に何度か問い合わせたが、「どのようなタイミングでマイナポータルに反映されるかについては不明」とか、「中間サーバーへの登録まで数日であること、それ以降の時差についてはオンライン資格確認やマイナポータルにおける処理にかかる」との回答があるだけで、解決しなかった。
 それどころか、4月14日には「この資格情報では、医療機関・薬局等で利用できません(有効終了日:令和6年3月31日)詳細については、加入する医療保険者へお問い合わせください。」とマイナ保険証に新たに表示された(写真1)。そのことを元所属先事務に伝えるとともに、厚生労働省のマイナポータル総合案内に電話して状況を説明したが、「厚労省では何も入力作業などしていないので、データ入力した東大支部または文科省共済本部の問題だろう」とのコメントであった。そのことを再度元所属先事務経由で共済組合東大支部に伝えてもらったところ以下の回答があった。

写真1:4月19日時点のマイナンバー保険証
写真1:4月19日時点のマイナンバー保険証

 「新組合員証の発行と旧組合員証の回収が共済システムに登録され、その情報が中間サーバに紐付けば、正しい現在情報がマイナポータルに表示されると考えられるそうです。このような仕組みに関するアナウンスや説明はどこからも無く、東大支部でも把握していなかったため、組合員証の発行・回収が完了するまでマイナポータルが使えないことも理解しておらず、そちらを使ってくださいというご案内をした。」
 新組合員証の発行と旧組合員証の回収が共済システムに登録されていなかったのである。なお、旧組合員証は3月29日に返却していた。つまり、従来のプラスチック製の新組合員証が発行されないとマイナ保険証も使えないということになる。そこで、紙の「(新規番号の)任意継続の資格取得証明書」が発行されていることは「新組合員証が発行」されていることと同義ではないかと4月19日にクレームを付けたところ、即日入力処理を行ってくれたようで、翌日の20日(土曜日)にはマイナ保険証も新規番号に変更され、使用可能になった(写真2)。マイナ保険証の即応性に感心した。

写真2:4月20日時点のマイナンバー保険証
写真2:4月20日時点のマイナンバー保険証

 私は、旧来のプラスチック製の組合員証の新規発行にとらわれない「マイナ保険証」中心のシステムへ方針転換してもらいたいと主張したい。なお、「任意継続被保険者制度」の利用者だけではなく、身分変更が必要だった他学部の同期生も4月中はマイナ保険証が使用できなかったと聞いている。
 しばらくマイナ保険証が使われていたにもかかわらず、このような問題が把握されていないことが不思議であった。健康保険証は予期せぬ事故や疾病の際に必要である。また、4月は退職などの身分変更や配置転換などで住所変更が必要になる人が多数いる。一般企業の健康保険組合でも同様のマイナ保険証問題が生じているのだろうか?


 医療機関のマイナ保険証システムの導入を強制的に進めるより、現状のシステム(入力作業)の問題点を少しでも解決(できるよう努力)し、事務担当者の意識改革をする方が先決だと感じた。「マイナ保険証」が便利なシステムであると理解すれば、ポイント付加などしなくても利用者は増えるし、医療機関も利用するようになるだろう。
 マイナンバーという総括的で即応性のあるシステムの持ち腐れである。来年には改善されていることを期待する。

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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌 農学博士
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職

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