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ホームページをはじめて一年が経った

 ホームページをはじめて一年が経った。このホームページの開設は、私の論文発表リストをWeb上で見えるようにする必要があり、その相談を息子にしたことに始まる。最終的にこのホームページは利用しなかったが、Web公表は日本農学賞応募の際に必要だったのだ。表に出ない、陰の努力だったと思っている。
 ホームページの記事は、当初「若手研究者や一般の市民の方々」に対して「研究の裏話やエピソード」を書こうと思っていた。ところが、研究の話はどうしても専門用語を使わないとうまく伝えられなくて、一般の方々には難しく、また古い話なので勘違いしているだろうと思うこともあった。そのため、途中から事実関係に少し目をつむっても、その時の自分の思いが伝わることに力点を置いて書くことにした。したがって、少しはフィクションがあることを告白しておきたい。
 実は退職に際して「嫌なことはやらない(やりたいことをやる)、お金のために働かない、嫌な人とは無理して付き合わない」の3つを守って生活することを決め、周りの人たちに宣言した。これまでも、嫌だと思ったことを、お金のためだと割り切って、嫌な人と一緒にやってきたわけではないが、より自由にやりたいことをやり、残りの人生を思いっきり楽しみたいと考えた。

 最近、研究だけではなく、大学教員として経験した「エピソードや裏話」を書き残しておきたいと思うことがある。一方で「職務上知り得た情報をむやみに公表すると懲戒処分を受ける」と聞いており、しばらく躊躇していた。ただ、懲戒処分といっても、今の私には「名誉教授の称号剥奪」くらいで「退職金の返還」までは要求されないだろうとも思った。また、懲戒処分決定には手続きを踏む必要があり、数年を要することも知っている。私にとって東大名誉教授である必要はなく、その頃には処分されたことさえ理解できなくなっているような気がする。「一般の市民の方々」にはこちらの話の方が興味深く、書き残しておく価値があるのではないかと思う。処分対象にならないように、他の人に迷惑をかけないように配慮しながら、一周年を記念して「ひとりの東大教員の経験」なるシリーズ記事を書き始めようかと思っている。

 ともかく、これからも思いつくことを「徒然なるままに」書き綴りたい。

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記事の執筆者と略歴

この記事の執筆者

片岡宏誌のホームページ 片岡 宏誌 農学博士
                                               
1981年 東京大学 農学部 農芸化学科 卒業
1983年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 修士課程 修了
1986年東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(農学博士)
1986年 Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute(アメリカ・カリフォルニア州)ポストドクトラルフェロー
1988年 日本学術振興会 特別研究員(東京大学)
1988年 東京大学 農学部 助手
1994年 東京大学 農学部 助教授
1999年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授
2024年 東京大学 定年退職
2024年 東京大学 名誉教授

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